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再訪、“Alberta Setting Sun”

“Welcome Home !”


カナディアン・ロッキーの麓アルバータ州エドモントン市でB&B(Bed & Breakfast)アルバータ・セティング・サン(Alberta Setting Sun)を営むポール(Paul)さんと(Peggy)ペギーさん。


去る9月に所用でトロント市を訪問した帰路、エドモントン市に立ち寄り20年ぶりにお会いしてきました。


この春に長年に渡る教員生活をリタイアされたポールさん、
ダウンタウンに程近い住宅街にあるご自宅のB&Bで昔とまったく変わらぬご愛敬で

“Welcome home !”

と出迎えてくれました。


ポールさんとのお付き合いは、
遡ること約四半世紀前の1987年8月に私がエドモントン市にてホームステイさせていただいたのが始まりです。


その後、1991年から2年ほどアルバータ大学に留学した際には、
日常生活のアドバイスから引越しや買い物のお世話、英語レッスン、ホームパーティのお誘いなどなど、
私の初めての海外生活を陰ながら物心共に支えてくれた方です。


家に入ると愛猫のBabyが噂通りのマイペースでソファの上にリラックス。

「あれ、Peggyはどこ?」

と聞くと、メイクアップ中とのこと。


さて、準備が整い、いつものようにポールさんの手料理ディナーへ。
12歳から家庭料理を手伝っていたその腕前は抜群で、前菜、ステーキ、パスタ、サイドメニュー、スウィート何でもござれ。


ワインホルダーに積み上げられた各国産のワインコレクションの中から、

「好きなものを選んで、乾杯しよう!」

ご当地自慢のアルバータ・ビーフには、選りすぐりのビンテージ・ワインで、


“Cheers !”&「乾杯!」


写真アルバムで私の家族を紹介しながら昔話を交え、歓談のひとときでした。


滞在中は2日間ともポールさんのフル・アテンドでこの20年間で大いに変貌したダウンタウンや郊外をくまなく走破。

カナダのテキサスと言われる産油地アルバータ州では、近年のオイル・マーケットの活況により、

エドモントン及びカルガリーは建設ラッシュ。都心の大規模再開発はもとより郊外の牧草地も宅地開発が進み、
好景気に沸いていました。


1991年に私が住んでいたダウンタウンのジャスパー・アヴェニューの木造アパート跡地には、
何と30階建ての高層マンションが建造中。州立博物館も中心部に建設予定でダウンタウンの景観は軒並み、
近代的な高層ビルに変わりつつあります。


その中においてアルバータ大学のキャンパスに隣接する学生街のまち、
オールド・ストラスコナは再開発の波に呑まれることなく、
翌1992年に私が住んでいた3階建の古アパートは、当時の面影を残したまま私を出迎えてくれました。


滞在中、ポールさんは私のリクエストを聞くやいなや車を飛ばし、


新興住宅街やモデルハウス、知人の新築の家の室内見学、
・懐かしいアルバータ大学のキャンパス訪問、
・1昨年他界された恩師のレスリー・グリーン博士宅にて奥様へのご挨拶、
・インテリア家具ショップ「IKEA」の視察、
  (北米では「アイケア」と呼ぶようです)
・サスカッチュワン川の後方にダウンタウンを望む私のお気に入りのスポットからの
 撮影などなど、


細やかなご配慮もさることながら、それ以上に私が住所も忘れていた
例の古アパートの所在地を覚えていてくれたポールさんの心意気には大感激でした。


帰りの朝、3人で朝食と取った後、空港に向かうタクシーを玄関前に待たせ、
私が靴ひもを結んでいる間、何故か3人とも沈黙のまま。


2人に別れの挨拶をしようと立ち上がると、Peggyの目に涙。

私も年甲斐もなく目頭が熱くなり、互いにハグ。

涙声で、

「HIROSHI,今度は是非、家族みんなで来てね。奥さんと子供達にもよろしくね。」

横にいたPaulも目を潤ませながら、双方言葉にならない熱い思いが込み上げてきました。


1995年開業のPaul & Peggyのアルバータ・セティング・サンは、
エドモントン市内のB&Bとしては草分け的な存在で、
壁にはこれまで受け入れたゲストの出身地をピンで記した世界地図が...。


まさに世界各地から訪れた数多くのカナディアンロッキーファンとの交流の歴史を物語っていました。
(北海道札幌市の位置にも、しっかりとピンが飾られています。)


聞くところによると、ポールさんがB&Bを始めるきっかけとなったのが、
1987年からのホストファミリー体験のようで、そのホームスティ・ゲストの
第1号が私であったとのことでした。


私とカナダとの縁は、オンタリオ州に住む親戚がそもそもの始まりでしたが、
それをさらに深め、カナダ人の善意を身をもって体現してくれたPaul&Peggyからは、今回も


“真の心の豊かさ”


を学ばせていただいた気がします。


ポールさんペギーさん、本当にありがとう。いつまでもお元気で。
またの再会を楽しみにしています。