遡ること10年余、北海道カナダ協会の会誌 「めいぷる」 第61号・創立20周年記念号に、私が約20年前にカナダエドモントン市で知り合ったスティーブ・フィリップチャックさんの機縁について寄稿させていただいたことがあります。
その彼との出会いは、共に在学していたアルバータ大学で開かれた在エドモントン総領事館主催の 「カナダ人による日本語スピーチコンテスト」に遡ります。
初めて日本に来たときの経験を演壇で愉快に語るスティーブさんは、ラテン系さながら (お母様がイタリア人です)、陽気で楽天的、 しかも物怖じしない性格で、日本語で形容すれば 「肝が据わっている」、 あるいは 「恥を知らない」とも言えるユニークな人柄で、私自身、 何故か彼とは馬が合いました。
卒業後、 彼は北海道と縁があり、 留学を経て札幌市内の企業に勤務。 在札中は、ラジオ番組のレギュラー出演、スピーチコンテスト出場、さらにスノーボードの指導なと活動範囲を広げる中、 見事、 大和撫子を射止められ、平成10年に北海道神宮でめでたく挙式の運びとなりました。
足掛け数年に及ぶ日本での生活の後、 生まれ故郷のカルガリー市に戻られ、現在は当地の日本人コミュニティーとの交流にも積極的に関わっているようです。
その後も我が家と家族ぐるみの交友が続いていましたスティーブさんは、 "恥の文化”とは程遠い “ラテン系の割には、 日本の歴史・文化には人一倍興味があり、中でも時代劇や武士道の話になると、
「ヒロシは、NHK河ドラマを見てないのか? 日本にいながら、 “龍馬伝"風林火山”も見ないのは日本人じゃないヨ!」
とビール片手に日本語でお説教をしてくれる頼もしい親日家です。
この調子で、某S局のラジオ番組を主宰する友人にも大和魂を喧伝していたようで、 後日、スティーブ家の4人組はゲストとしてそのラジオ番組にしっかりと生出演し、青い目のサムライは北海道弁を交えて堂々と日本振りを発揮していました。
カナダで武士道と言えば、バンクーバーに記念館があ新渡戸稲造氏、また青い目のサムライであれば 「ラスト「サムライ」のトム・クルーズを連想する中、 彼の日本贔屓に接すると、
「心の友よ~!」
との時空を超えたびが、 カナディアンロッキーにこだましそうです。
彼との出会いから20年が過ぎ、心の時代と言われ-21世紀の今日、言霊宿る日本語を自在に操るスティーさんはカナダ人でありながら、 古き良き日本の伝統理人情的な思いを彷彿させてくれます。 スティープ家皆様が、これからもカルガリー市において両国の架けとして活躍されるよう願っております。
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